指導方法:効果の出ない原因

3 Step System 教材を使用しても期待ほどには効果が出ない場合があります。その原因は何でしょうか?これまでの指導実践研究から明らかになった効果の出ない原因の例と、それらへの対処法をまとめました。

動機づけの欠如

機器による指導、文字だけでなく動画映像や音声(マルチメディア)を導入した指導というだけで学生が英語の学習に積極的になるといった期待は幻想にすぎません。

情報化社会と言われ、誰でもコンピュータが持てる今日では、CALLほど教師による不断の動機づけが必要なものはないと言っても良いかもしれません。

学生が学習に対して積極的態度をとり続けられるように、様々な角度からの動機づけをしてあげることが肝要です。

語彙力の不足

コミュニケーション能力に豊富な語彙力は不可欠です。TOEFLTOEICのスコアと語彙力にも高い相関があることがわかっています。

一方、常識や異文化の知識等を活用した推測力(トップダウンの言語情報処理能力)が高いと語彙力の弱さを大きくカバーできることも判明しています。

つまり、「語彙」と「常識」の両方をバランス良く勉強していくことが重要となります。

教材難易度との不一致

3 Step Systemに基づいた指導の場合、他の指導法で指導する場合に採用できる教材より難易度が高めのものが採用でき、さらに、その方が高い効果を得られることが検証されています。

しかしそれにも限度があり、学生の能力レベルと教材の難易度の間にTOEICで100点の差がある(易しすぎる、または難しすぎる)と、効果は半減することが実証されています。

したがって、指導の前にできるだけ厳密な評価を行い、学習者の能力レベルに合った教材を使わせることが効果を高める秘訣となります。

非継続的な学習

3 Step Systemに基づいた教材で真面目に勉強すると、「考える」という作業が続くので、当然、頭が疲れます。

したがって、CALLでの学習は45分くらい、長くても1時間くらいにとどめた方がよいでしょう。

重要なことは、短い時間であっても、CALLによる学習を毎日続けることです。母語の場合、どの国の人々も1日に約8時間も聞いて、しかも使いながら一生習得し続けているのだということは忘れないでください。

学習期間の不足

外国語の学習には、よい教材が必要です。そして、3 Step Systemの理論を採用したCALL教材は外国語の指導に極めて効果的に使えることが実証されています。

しかし、それも相対的なもので、外国語の習得には必然的にある程度の「学習時間」は必要になります。

語彙力の弱い最近の学生には、語彙力の向上のための学習を含め、TOEICスコア100点の上昇に正味70時間前後(期間にして約3〜4カ月)の学習が必要と考えるべきでしょう(TOEICスコア600以下の場合)。学習者のレベルが上がるにつれて必要な学習時間はさらに増えます。

教材への興味の欠如

同じCALL教材で指導しても、教材のトピックに興味が持てる場合とそうでない場合では学習者の心理的な成就感や継続的学習意欲に大きな差がつくことも明らかになっています。

教師の興味でなく、学習者の興味やニーズを基準に教材を選定することが高い効果をもたらすことにつながります。

学習の中断

女子柔道のシドニーオリンピック金メダリスト、田村亮子さんは、コーチから「練習を1日休むとそれを取り返すのに3日かかる」と言われたことを忘れずに努力してきたと言っています。

英語も私たちにとっては外国語なので、学習をしなければ当然、その力は下降していきます。具体的には、6カ月間中断するとTOEICで20点から30点分下降すると推定されています。

仮に、前期の授業で一生懸命に学習を続けたとしても、夏休みの数カ月間、勉強を中断してしまっては英語力は伸びていきません。

学習態度の問題

学習にかける時間は、ただ長ければ良いというものではありません。費やした時間だけでなく学習態度が効果に大きく影響します。

たとえば、「真面目に学習した場合」、「形式的に学習した場合」、「まったく学習しない場合」では、同じ時間数学習しても、41点上昇、9点上昇、16点下降(TOEFLスコアのグループ平均)という差がつくことが観察されています。

指導法と異なる学習

3 Step Systemでの学習法は伝統的な手法と「表面的に似ている」部分と、「大きく異なる」部分があります。

しかし全体としてはシステムを構成しているので、教材の中での指示を無視したり、勝手に学習法を自分流に変えたりすると効果が激減します。

システムは全体としてもっとも効果的に最終目標が達成できるように制作されているものですから、教材中の指示には忠実にしたがって学習することを心掛けさせてください。

油断・慢心

学習が長期にわたり連続する場合、最初の学習機会で高い上昇を得たものは次回に低くなり、最初の学習機会で低い上昇しか得られなかったものは、次回に高くなるという明白な傾向が繰り返し観察されています。

したがって言語の学習には、生得的な能力の差よりも慢心や、やる気の強さの差が影響の大きいことが明白だと言えます。

学習法の理解不足

まったく同じ教材で指導しても、3 Step Systemについて熟知している、その理論を強くサポートしている教員が指導した場合と、「必ずしもそうではない教員が指導した場合」では、学習者の心理的な成就感や継続的学習意欲に大きな差がつくことが明らかになっています。

外部テスト対策と誤解

3 Step Systemに基づいたCALL教材は、いずれもTOEIC、TOEFL対策用に制作されたものではありません。

一般的な意味での英語の総合力が効果的に養成される教材なのですが、外部テストで評価しても通常はある程度の効果が見られます。

しかし、TOEICやTOEFLといったテストのスコアを短期間で大きく向上させたいのであれば、それぞれのテストに合った語彙と文法問題の補充学習はある程度必要になります。外部テストを利用する際はこのことに留意してください。

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