3 Step Systemの教材を使用して指導をしている大学で、TOEFLやTOEICといった客観テストにより学習効果を測定している場合があります。また、学習終了後に実施したアンケート調査の結果もあるので、それらをまとめて示します。
*3 Step Systemの教材は、TOEFLやTOEICなどのテスト対策用の教材ではありません。
得られた印象評価では、「成就感」、「満足感」、「継続学習希望」のいずれにも80%以上の肯定的回答が得られています。否定的回答はいずれも10%以下でした。
![[図]等間隔尺度法による3 Step Systemの印象評価](image/fig1.gif)
次に、1997年度から1999年度にかけて千葉大学で行われた、授業と組み合わされた自習による3 Step Systemでの学習の結果を示します。
3群、延べ64名の学生に対する約5カ月(後期のみ)、平均約70時間の指導でTOEFL Paper-Based Test(公開テスト)に、平均24点の上昇が3年連続して観察されました。この64名を下位、中位、上位の3群に分類し直した結果を下の表に示しましたが、上位群は平均TOEFL-PBT 570に到達し、英語圏の多くの大学が留学生に求める英語力(550)に到達できることが判明しています。
| 人数 | 学習前 | 学習後 | 上昇量 | t-test | |
|---|---|---|---|---|---|
| 下位群 | 21名 | 477 | 511 | 34 | 7.02* |
| 中位群 | 21名 | 514 | 538 | 25 | 4.11* |
| 上位群 | 22名 | 555 | 570 | 15 | 3.03* |
*有意差あり(p < 05)
(竹蓋、草ヶ谷 2003)
2000年度には、CD-ROM教材5枚を、上記の上位群学習者で継続学習を希望した者10名に貸与して自由に学習を継続させました。
その結果、3枚以上の学習を終えた7名の成績は、下の表に見られるように、TOEICで平均916まで上昇し600〜800を期待する企業の期待(TOEIC運営委員会2003
)に余裕をもって応えることができることが検証されました。
| 学習前 | 学習後 | 上昇量 | t-test |
|---|---|---|---|
| 844 | 916 | 72 | 7.65* |
*有意差あり(p < .05)
(竹蓋他 2002)
文京学院大学では、延べ102名の学生を実験群と統制群に分け、3 Step Systemによる実験的指導と伝統的な手法による指導の効果を比較しました。
その結果、年間約8カ月の指導で、実験群(14名)のTOEIC-IPスコア上昇量は100点、統制群(88名)は29点でした。両者の差の71点は統計的に有意な差(t = 3.67* p < .01)です(竹蓋他 2003)。
差の71点は8カ月の学習にしては小さく思えるかもしれません。しかし、5コマの授業を受講した統制群のスコア上昇量が29点に過ぎなかったのに対して、そのうちの1コマを3 Step Systemによる授業に置き換えただけでTOEICスコアに3.4倍の上昇が得られたという事実は軽視できないと考えます。
同じ指導の中で観察された興味深い事実は、TOEICのListening Sectionの上昇量とReading Sectionの上昇量とを比較したところ、統制群の場合は23:6で、聴解力に対して読解力の伸びが26%に過ぎなかったのに対して、実験群では54:46と、読解力の伸びが85%に達したことです。
このことは、3 Step Systemによる指導が、リスニング力だけでなく、リーディング力の向上にも効果的であることも明らかにしています。
3 Step Systemの教材は、2005年9月末現在、高等学校40校、中学校18校で使用されています。そのうち、SELHiに採択された高等学校2校(SELHi A校, SELHi B校)での指導の結果を記します(永井2005;田村2005)。
SELHi A校(1)ではSELHi指定2年目で、2年生になった国際学科の生徒(37名)がGTEC(Benesse
)のリスニングテストで前年の211.7点からさらに上昇し、「卒業時のGrade
6(高校生最高レベル)の得点230点」を上回る231点まで上昇しました(下図:補助線はGTEC for STUDENTS(Benesse 2005)より)。
また、SELHi B校(2)では、1年生全員(211名)が1年間の中核システムによる学習の後、リスニングの得点で232点を記録しています。
こちらの高校の研究開発実施報告書には、1年間の学習で全国高校平均の3年分の得点上昇が得られたと報告されています。この結果から、3 Step Systemの教材は、大学だけでなく高等学校レベルででも高い効果が得られることが明らかになりました。
![[図]SELHiでの3 Step Systemの指導効果](image/fig2.gif)
千葉大学教育学部附属中学校では、平成10年度から12年度にかけて、3 Step Systemの教材を使用したリスニング力養成の指導を行い、効果を確認しています。さらに平成13年度からは、培ったリスニング力をスピーキング力へと発展させる指導を行ったうえで「2003年度NHK 新英語スキット大会−基礎部門」に参加し、全国優勝を果たしたと報告されています(石川、西垣2005)。
石川らは、報告の結論として、「指導理論に基づいて作成されたリスニング教材(中核システム)を使い、自然な音声英語のインプットを十分に与えた後、適切な指導を行えば、向上したリスニング能力は発音リズム、イントネーションなどのスピーキングの基礎力に転移することが確認できた」と述べています。
3 Step Systemによる指導ではリスニング力養成指導から、リーディング力へ大きな転移があったことを既に述べましたが、この指導実践でスピーキング力への転移も確認されたことになります。
